本日、新型コロナウィルスの感染者が900人を超えたことが発表されました。
1日の国内感染者は過去最多となりました。
新型コロナウィルスの「第2波」への対応が迫られる今、
パオロ・ジョルダーノ著『コロナの時代の僕ら』(早川書房)を読み直してみました。
本書の特徴

イタリアでは、2月末から3月にかけてコロナウイルスの感染が急速に進んでいました。
本書は、そうした状況のなか、作家パオロ・ジョルダーノによって書かれたエッセイです。
著者のジョルダーノさんは、『素数たちの孤独』で有名な小説家で、物理学者でもあります。
本書は、イタリアでの刊行からすぐに、日本でも緊急出版されることとなりました。
ジョルダーノさんの過去作を国内で出版していた早川書房は、本国でも書籍が未刊行だった三月半ば、各国出版社向けの試読版を読んで即座に出版を決めた。担当編集者の千代延(ちよのぶ)良介さんは「イタリアの状況は近い未来の日本の姿かもしれない。できるだけ早く届けたいと思った」。
東京新聞「緊急出版で話題『コロナの時代の僕ら』 収束後の世界を考えるよすがに」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/2979)より引用
早川書房が早々に出版を決めて、イタリア文学の翻訳者である飯田亮介さんにより10日間で翻訳が仕上げられました。
刊行前には、noteにて2日間限定の全文公開が行われ、大変話題になりました。
緊急事態宣言開始後、すぐに本書を手に取り読むことができたことは、ありがたいことでした。
コロナ時代を僕らはどう生きるか
本書の感想をまとめていきます。
まず、物理学者である著者ならではの、コロナに対する冷静な考察が特徴的でした。
『素数たちの孤独』で数学をテーマにしていたように、物理学者である著者は数学についても博識であり、コロナを数学的に分析している箇所も見られます。
コロナに対して恐怖を感じてパニックになりがちですが、著者による論理的なコロナに対する考えは、気持ちを落ち着かせてくれるものでした。
上記の科学者としての論理性に加えて、小説家としての文章の情緒性も兼ね備えているため、読んでいて味わい深いです。
本のボリュームとしてはかなりライトなので、読もうと思えば一気に読むこともできましたが、私は時間をかけて1週間ほどかけて読んでいました。
翻訳者のあとがきにあるように、本書のあとがきとして追加された「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」は原著には載っていません。
訳者の飯田氏の判断により本書に掲載されることとなったこのあとがきは、私たちに強いメッセージを投げかけています。
すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか。
『コロナ時代の僕ら』p.109より引用
アフターコロナの世界を一人ひとりが考えて、いつか一緒に考えよう、と提案しています。
「元に戻ってほしくないこと」について、僕らがそれぞれ個々人で考えよう、と。
問いをより端的にしてみましょう。
僕らはこれからの時代をどう生きていくのか
僕らにできることは、これからの生き方を考えることです。
ジョルダーノ氏が言うように、家にいるこの自粛期間に、これから先の僕らの生き方について、世界について考えてみましょう。
外出自粛が要請され、今までと同じような生活ができなくなりました。
新しい生活様式が求められるようになったが、コロナ感染の状況は日々変わり続けます。
感染者の増加が収まり緊急事態宣言が解除され落ち着いたかと思わましたが、人々の動きが活性化すれば当然感染者数はまた増加し始めます。
本日、日本国内の感染者数は過去最多を記録しました。
緊急事態宣言が解除されてからは、在宅ワークから通常出社に戻った人も多いと思います。
平日は混みあった電車に不安になりながら、会社でも人を恐れてストレスが増大します。
一方、休日は家族と出かけて楽しもうとして、コロナのことをまるで忘れようとしてるかのように見えることもあります。
私自身もコロナのことを不安に思う一方で、どこか遠ざけて考えたいと思うことも多くあります。
この相反する思考を不思議に思いながらも、そうならざるを得ないとも感じます。
感染拡大を抑え込みながら、経済成長が求められていますが、政府の方針に疑念を抱いている人も多くいるように思われます。
自粛と経済拡大をどう考えれば良いのか、一人ひとりが真剣に向き合うべき局面になっています。
個々人がこれからの生き方を、働き方を見直す必要に迫られているのです。
終わりに
本書は、ウィズコロナの時代をどう生きていくのか、を考える良いきっかけをもらいました。
アフターコロナの時代に自分の仕事はあるのか、そんなことも考えていました。
コロナと一緒に生きていくというのはどういうことなのか、自分がどんな働き方をするべきなのか、今一度真剣に向き合っていきたいと思います。
何か考えるヒントになる情報がありましたら、コメントでもTwitterでも情報頂けますと幸いです。
以上です。